2024年5月23日
お疲れ様です、今日は三井グループで海運業を営む商船三井についてです!昨日は、三菱グループの三菱地所を記事にしましたが、やはり旧財閥系のグループはすごいですね。実は、先日記事にした王子HDも三井グループ。幅広い業界に首位級の企業をたくさん抱えています。
それでは、どんな企業なのか4月30日の決算発表(会社ページ)も踏まえ、株価や配当などについても考察していきましょう!【この記事は、約6分で読み終わる内容です。】
1.商船三井は何の企業?
商船三井は、LNG船などの不定期船に強い大手海運企業です!LNG船というのは、そのままですが、LNG=液化天然ガスを運ぶタンカーで、商船三井は世界首位の94隻(2023年3月時点)を保有しているそうです。日本でLNGは、火力発電の燃料などに使われており、直近で輸入量は減少傾向であるものの安定した需要が存在しており、当然その輸送という役割も継続的に必要となります。
ところで、みなさん海運と言えばコンテナというイメージ、ありませんか?もちろん、商船三井もコンテナ輸送に携わっているのですが、そのほとんどを関連会社である、Ocean Network Express(ONE)が担っています。ONEは、日本の大手海運企業3社(商船三井、日本郵船、川崎汽船)が出資する企業で、もともとは3社それぞれで行っていた定期ンテナ船事業を統合し引き継ぐ形で事業を行っています。
ONEへの統合前は、各社のコンテナ船事業は厳しい状況でしたが、規模*のメリットを活かした効率的な経営により、現在はしっかり利益が出る会社へと成長することができています。
*ONEはコンテナ船の運航規模で世界6位(執筆時点)。
長くなってしまったんですが、最後にもう1つ。商船三井は不動産事業など非海運事業への事業領域拡大に力をいれています。海運事業というのは、市況の影響が大きく利益に波があるため、安定的な事業をグループに取り込むことで、長期的に利益を出し続けることが目的なようです。ちなみに、市況とはざっくり船賃の変動のことで、景気が良く輸送したいものが多い時は、船が足りなくなるので船賃は上がりますが、船が余っているときは下がるという具合です。
2.2024年3月期決算と2025年3月期の見通し
ここからは、決算と見通しについて見ていきます。
まずはサマリーです。2024年3月期の決算はおよそ1.62兆円(昨年度は約1.61兆円)の売上高、最終利益はおよそ2,617億円(同7,961億円)と昨年度と比べると増収ですが大幅な減益となっています。2025年3月期の見通しでも、増収減益の見通しとなっています。2期連続で増収減益ですが、これにはからくりがあって、前述のONEに関連する収益が売上高には計上されず、経常収益に計上されます。また、2023年3月期はコロナの影響により、コンテナ運賃が暴騰し、ONEの収益も大幅増となっていました。ですので、2023年3月期は最終利益が非常に大きな数値となっており、そこと比べると減益という形です。
2024年3月月期の決算を詳しく見ていきましょう。決算説明会資料より事業別内訳の資料を引用してきました。上段の数字が売上高、下段が経常損益です。前述の通り、コンテナ船事業の経常利益は前期比▲5,686と大きく減少しています。数字のインパクトではコンテナ船事業の影響が圧倒的ですが、ドライバルク船という鉄鉱石や石炭などをばら積みし輸送する事業を除き他すべての事業で増益となっています。ドライバルク船事業は、中国経済の減速影響を受けての減益とのことですが、各事業通じて、長期契約を締結し、市況に左右されず安定した収益を確保できる形に転換を進めることで増益に繋げているとのこと。
続いて、2025年3月期の見通しの詳細ですが、同様の資料を引用してきました。事業ごとに、波があるものの、全般としては横ばいというところでしょうか。調整の▲269億円というのが気になるのですが、こちらは資料や説明会動画を見ても詳細を見つけられず…。ここ数年を見ると、上方修正を出すことも多いので、今回も期待したいところですが、やはり市況次第というところでしょうか。
3.現在の株価と指標
株価グラフと各指標は次の通りです。
1株5,074円、1単元100株で51万円ほどとなっています。ここ1年の株価は上下しながらも、上昇基調を維持していますね。
PERは8.6倍、配当利回りは3.5%となっています。一時的に10%近い超高配当銘柄になっていた時期もあったのですが、落ち着いてきましたね。とはいえ、割安水準ですし、配当も高配当と言える水準です。
4.まとめ
商船三井について見てきましたがいかがでしたでしょうか。
海運株は、以前にも大きく上昇していたことがあるのですが、その後リーマンショックを境に大きく下落しコロナ影響の好市況が訪れるまで長らく安値が続くという状態でした。ただ、当時とは違い、商船三井も安定的に利益が出るようしっかり備えているので、鉄サラとしては、長期的に安値のいわば暗黒時代の再来はないと考えています。
事業内容から、安定したリターンが期待できる銘柄か微妙なところですね。むしろ、コロナの時のように、他の銘柄と違うタイミングで好業績となる可能性があるため、その観点から投資してみるのが面白いかもしれません。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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(※本記事は掲載銘柄への投資を推奨するものではありません。一切の投資については、自己責任でお願いいたします。)