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下方修正頻発中…「4503:アステラス製薬」はどんな企業?【銘柄考察】

2024年5月13日

 お疲れ様です、鉄サラです。今日は、名前がカッコいい製薬企業、アステラス製薬についてです!製薬企業って身近な気がしましたが、アステラス製薬の薬飲んだことあるかと考えれば何も思いつかず、距離を感じてしまった鉄サラです。

 

 それでは、どんな企業なのか4月25日の決算発表(会社ページ)も踏まえ、株価や配当などについて考察していきましょう!この記事は、約5分で読み終わる内容です。】

 

 

1.アステラス製薬は何の企業?

 アステラス製薬は、がん治療薬などを開発・製造する製薬企業です!"製薬"とついているだけあって、とってもわかりやすいですね。そんなアステラス製薬の特徴について2つほど見ていきます。

(引用:アステラス製薬ホームページより)

 1つ目は、海外売上比率が高いことです。グラフは地域別売上収益を示しており、2023年度の実績では日本での売上は20%以下、海外売上が80%以上を占めています。実は、アステラス製薬の特徴というよりは、製薬業界全体の特徴でもあり、同業の武田薬品工業も80%以上となっています。グローバルで活躍している、グローバルな競争環境にあるという両側面から考えることが必要ですが、日本国内は短期的には高齢化により薬の需要が伸びたとしても、長期では人口減少が進んでいますから、その影響を受けにくい分プラスととらえて良いでしょう。

 2つ目は、イクスタンジ(XTANDI)という薬についてです。詳細な数値は、決算の章に譲りますが、イクスタンジがアステラス製薬を支える大黒柱となっています。しかしながら、イクスタンジは2027年に特許切れとなり以降の収益は大きく落ち込むことが確実な状況です。2027年までに次の大黒柱が必要なことは、アステラス製薬もよく理解しているようでM&Aなど様々な手段で新薬の開発等に手を尽くしています。

 

2.2024年3月期決算と2025年3月期の見通し

 ここからは、決算と見通しについて見ていきます。

 まずはサマリーです。2024年3月期の決算はおよそ1.6兆円(昨年度は1.5兆円)の売上高、最終利益は170億円(同987億円)と昨年度と比べると増収ですが大幅な減益となっています。2025年3月期の見通しでは、増収増益の見通しとなっていますが前々期の半分にも満たない水準となっています。2021年3月期から2023年3月期までの3期は平均すると、1,100億円を超える最終利益を確保していますし、今期を含めここ数年は苦戦が続いていることがわかります。

(引用:アステラス製薬株式会社 2023年度決算概況より)

 2024年度3月期の決算を詳しく見ていきましょう。まずは、決算説明会資料より主要製品の売上について、引用してきました。5つのすべてが前期比プラスで好調を維持しています。やはりイクスタンジの数値が突出していることが目立ちます。これだけの売上が、0とは言わないまでも大きく落ち込んでしまえば、大ダメージは避けられません。次に、前期比で約2,000億円増加し、減益の原因となっている費用項目についてです。ざっくり、1,000億円ほどが主要製品の表の下2つVEOZAHとizervayにかかる費用のようです。この金額には償却費も含まれますし、致し方ない所ではあるのですが、それだけの費用をかけているにもかかわらず売上がついてきていないことが気になります。また、500億円ほどがM&Aにより増加、100億円ほどが減損ということになっています。M&A関連費用、減損損失いずれも、イクスタンジに代わる薬の開発に費やされたものです。(残りの400億円はその他の販管費増加等。)製薬企業なだけあって、やはり桁違いの開発費を費やしていますね…。

 続いて、2025年3月期の見通しの詳細ですが、2024年3月期に続き売上は500億円程度の増加費用は減損損失が減少するものの継続して莫大な開発費を計上しこちらも増加、差引の利益面ではやや増益で着地するとのことです。アステラス製薬はここのところ下方修正が続いているため、見通し通りの着地ができるのか気になるところです。

 

3.現在の株価と指標

 株価グラフと各指標は次の通りです。

 1株1,510.5円、1単元100株で15万円ほどとなっています。業績が不調ということもあり、直近1年の株価は大きく下落してしまっていますね。

 PERは90.4倍、配当利回りは4.9%とどこかアンバランスな数字になっています。PERは業績の不調によりEPSが大きく下がったことが原因で、非常に高い数値となっています。一方で、配当利回りについては、今後の利益成長を見据えて増配していますが、業績に応じる形で株価は下落しているためです。

 

4.まとめ

 アステラス製薬について見てきましたがいかがでしたでしょうか。

 1にも2にも、イクスタンジに代わる次なる大黒柱を育てることができるかどうかというのが業績面での課題でしょうか。

 また、投資対象としてみると、現在は高水準の配当金が目につきますが、業績に不安があり減配リスクを抱えています。業績は先述の通り、見通すのが大変難しく、今後の値動きも激しくなる可能性が高そうです。ちょっと悲観的に書きすぎましたが、もちろんいい薬が育ち急上昇するという可能性も大いにありますから、今の株価なら面白い銘柄かもしれません。

 

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(※本記事は掲載銘柄への投資を推奨するものではありません。一切の投資については、自己責任でお願いいたします。)